カビ除去アイテムとして多くの方が思い浮かべるのがカビキラー。
強力な漂白効果でカビの色素が綺麗に取れる便利な代物だが、商品にも記載されている通り、
使用方法を間違えれば二次被害を招くことがある。
もちろんカビキラーは室内の壁には使用してはならない。
強力だからこそ知っておくべきカビキラーの成分や、
壁に発生したカビの正しい除去方法、そして予防法をお伝えする。
『人、建物に優しいカビ取り専門業者による無料見積り/カビラボ』
この記事読むことで理解できること
原則!カビキラーは水洗い出来る箇所に使用
カビキラーの商品ラインアップには現在の時点で下記があり、「カビ除去」を目的としている4点の商品には全て「次亜塩素酸塩」という成分が含まれている。
(カビ除去)
■カビキラー
■カビキラー電動スプレー
■ゴムパッキン用カビキラー
■カビキラー除菌@キッチン漂白・ヌメりとり
(洗濯層用カビ除去)
■洗たく層カビキラー(塩素系)
■洗たく層カビキラー(非塩素系)
(カビ予防)
■カビキラーアルコール除菌食卓用
■カビキラーアルコール除菌キッチン用
「次亜塩素酸塩」の役割には殺菌、消臭、強力な漂白効果があるが、強いアルカリ性の為、高い濃度で直接触れると、皮膚は化学熱傷という火傷のような状態に、洋服は脱色し繊維を傷めてしまう。また、ツンとした刺激臭が気分を悪くしてしまう場合がある。
これがカビキラーは、しっかりと水洗いで落としきることが出来る場所以外での使用は、避けるべき理由である。
カビキラーの成分から見る効果
カビキラーの成分は下記の通りである。
【成分】
・次亜塩素酸塩(酸化剤)…染料なども脱色するいわば漂白剤
・水酸化ナトリウム(アルカリ剤)…液を適度なアルカリ性に保ち、油性汚れを取り除きやすくようにする。また配合された酸性成分を中和し適正な液性にするためのもの
・アルキルアミンオキシド(界面活性剤)…汚れを落とす主成分。浸透・乳化・分散作用の働きで汚れを落とす
・安定化剤(安定化剤)…製品の保存安定性を保つ働きがある
・香料
上記の中で主成分となっているのは「次亜塩素酸塩」であり、これは漂白効果が強く、そのため、カビ色素を除去することが出来る。
ただし、カビ除去の根本的な解決は、カビ「色素」の除去ではなく、カビ「菌核」の除去である。
カビキラーで除去できるのは、カビ色素、カビ胞子であり、カビ菌核までは除去しきれない為、再発するものと考えていただいてよい。
では、カビの根本的な解決である「カビの菌核」の除去はどのようにすればよいか。これはカビの種類、発生環境などを調査した上で、化学反応で除去を行う。これを行えるのはカビの専門的な知識と豊富な経験を持っているカビ除去・予防の専門業者だけと言っても過言ではない。
水場におけるカビキラー使用の注意点
水洗いが出来る箇所で使用する場合でも取り扱いには注意が必要である。
また下記のことから、室内の壁に対して使用できない事や、使用方法を読まずに使う危険の、再確認となるためお伝したい。
①必ず換気をする
カビキラー独特の刺激臭で気分が悪くならないように充分な換気を使用中、使用後も行う。
②必ず単独で使用する
カビキラーはアルカリ性の為、酸性のアルコール除菌液や、クエン酸などと混ざることで有毒ガスが発生する。必ず単独で使用し、また使用後はしっかり洗い流して、その後に使用した他の洗剤などと混ざらないように注意する。
③お子さんを近づけないようにする
使用中は小さなお子さんが素手で触る、口にするなどが絶対にないように注意する。
④マスク、ゴーグル、ゴム手袋の着用
目や口、皮膚を守るために着用し、目の高さより上で使用する場合には、スプレーせず、柄つきスポンジなどにスプレーしてから使用するとよい。
⑤長時間使用しない
カビキラー単独で使用していたとしても、長時間使用することで空気中の炭酸ガス(酸性)と混ざり有毒ガスが発生することもある為、商品記載の使用時間を守って作業を行うこと。
根本的なカビ除去を行えるのは専門業者のみ
画像は、実際にカビ除去・予防専門業者によるカビ除去の様子である。
ここまでカビが繁殖してしまっている場合、この部屋の空気中にもカビ胞子は飛散しており、放置しておけば天井、床、家具だけでなく、壁の内部の躯体にまでカビ菌が及んでしまう。
先述したとおり、カビの根本的な解決とは、「カビの菌核の除去」である。
カビ除去・予防の専門業者はカビ菌核の除去も、厚生労働省が指定する食品添加物以上のものは使用せず安全性が高い洗浄剤を用いて行ってくれる。
カビ取り専門業者でなくても「カビ除去できます!」と引き受けてくれるクリーニング業者もあり、作業後は見た目は綺麗になるが、その多くは、塩酸を水希釈した「酸洗い」か、高圧洗浄による「剥離洗浄」が主体で、これは建材へのダメージや人体、環境への影響が生じる可能性がある。もちろん菌核まで除去はできない。
カビ除去は、他の汚れとは違い、「生きた菌の除去」である。
もしも、壁にカビが明らかに発生している場合には、専門業者に相談することが、一番確実な対処方法である。
カビの生態と発生原因
カビの種類や繁殖状況によっては、知識なく薬剤を使用することによって、菌に抵抗性を持たせてしまう場合がある。
カビ除去や防止は特殊であり、専門的な分野であることは下記を見ていただくことでイメージしていただけるだろう。
種類 | 特徴 |
黒カビ | 空気中に多く、乾燥にも比較的強い、初期では薬剤に弱いが、繁殖しだすと薬剤に対し抵抗性を出す。むやみな薬剤使用は逆効果となる。 |
赤カビ | マイコトキシンという危険性の高い毒を作り出し、口にすると食中毒症状を起こす。免疫力の低い幼児などには命にかかわる |
青カビ | 食品だけでなく、家具や押入れ、たたみにも発生し、増殖スピードが早い |
ススカビ | 薬剤や光にも強く、アレルギーの原因や悪化を引き起こす |
進行具合で薬剤に対して抵抗性を出し勢力を増すもの、薬剤や光にも強く人体にダイレクトに害を与えるもの、除去の際には飛散に一層気を配るべきものなど、カビの種類、進行具合、また発生箇所や原因によって除去の内容を見極める必要がある。
そして壁カビにお悩みの方に知っておいて欲しいことが「防カビ」の重要性である。
まずはカビ発生の条件を確認してほしい。下記の4つが全て揃うとカビが発生する。
①温度…5~45℃で発生し、20℃以上から活発に、28℃前後が一番盛んになる
②湿度…60%以上で発生し、80%以上となると猛烈な勢いで繁殖する
③栄養…埃、人間の垢などのたんぱく質汚れ、食品だけでなく、塗料なども栄養源となっている
④酸素
この中の1つでも条件が揃わなければカビを抑えることが出来る。この中で私たちが事前にカビを食い止めるには「湿度」を60%にしない事が一番の策である。
しかし、夏場は気をつけていても湿度60%はすぐに越えてしまう事が多く、また現にカビが発生した箇所というのは油断すれば再発しやすい環境である。
北側の部屋や、ライフスタイル上、日中の風通しがほとんど難しく湿気がこもりやすい環境等の場合には、防カビ処理を行う事で、カビを抑制することができる。
自分で安全に壁カビ殺菌する方法とは
①水洗いできない室内の壁にはカビキラーは使用してはいけない。
②カビが発生したら専門業者への依頼が一番効果のある対処。
上記二つをお伝えしたが、カビの発生がまだ小さな点などの初期段階であれば自分でなんとかしたい、繁殖を抑制したい、と思う方が多い。
続いては壁材の種類毎に、出来る限り人体にも素材にも安全な、自分で出来るカビ殺菌方法をお伝えする。
『人、建物に優しいカビ取り専門業者による無料見積り/カビラボ』
壁紙
【使用するもの】
・重曹
・酸素系漂白剤(衣類用粉タイプ)
・消毒用エタノール
・ぬるま湯
・メラミンスポンジ
・ラップまたはキッチンペーパー
・新品の雑巾(3枚)
・小皿またはカップ状の容器
【手順】
①重曹ペーストを作る
容器に重曹を入れて、そこにぬるま湯を少しずつ加えながら、固めのヨーグルト状にする。さらに酸素系漂白剤をペーストに加えて混ぜ合わせる。
②エタノールで殺菌する
雑巾に消毒用エタノールを拭き付けて、カビにゆっくりと塗りつける。カビの胞子が飛散しないように丁寧に拭き取っていくように手を動かす。
拭き取れないカビ汚れはメラミンスポンジで擦って落とす。メラミンスポンジを使用した後は、菌や汚れを含んだ粉が出てくるので、掃除機で片付ける。(殺菌したカビのみに掃除機は使用すること)メラミンスポンジ使用後は、もう一度、消毒用エタノールで表面を拭き取る。
③重曹ペーストを塗る
エタノール乾燥後、重曹ペーストをカビに塗り、上からラップをかけて3時間程そのままにしておく。3時間後、ラップをはがし重曹ペーストをしっかりと拭き取る。
④乾拭き&後片付けをする
最後に乾拭きを行う。完了したら、カビ菌を残さないように、再度作業周辺を掃除機で片付ける。
ペンキ塗装壁
【使用するもの】
・室内壁用カビ除去剤
・キッチンペーパー
・ラップ
・マスク
・ゴム手袋
【手順】
①カビ除去剤を塗布する
換気をしっかりと行い、キッチンペーパーに室内壁用カビ除去剤を含ませ、そのままカビ発生箇所に塗布、上からラップをして30分程待つ。
②汚れを拭き取り水拭きする
ラップとキッチンペーパーをはがし、壁表面の汚れを拭き取る。その後しっかりと薬剤が取れるまで水拭きし、最後に乾拭きする。
※今回は、水拭き又は水洗いが必要な薬剤を使用するとしての手順であるが、使用する薬剤によって、使用方法を確認して行うこと。
【使用するもの】
・消毒用エタノール
・綺麗な布(雑巾やタオルでも良いが、目の細かな布が好ましい)
【手順】
①カビの飛散を防ぐ
カビの発生している箇所に消毒用エタノールをスプレーで塗布する。
②布でカビを擦りとる
消毒用エタノールを十分に湿らせた布で、カビを擦りとる。強く布を当てすぎると珪藻土の表面の粒子がこぼれてくるので注意する。
③紙やすりで削る
紙やすりで表面の色素沈着の箇所を削り落とす。軽い力で削り落とすが、この作業は必ずエタノールで殺菌した箇所にのみ行うこと。やりすぎると壁に凹みが出来るので注意。最後に消毒用エタノールをスプレーし乾燥させる。
木材
【使用するもの】
・消毒用エタノール
・酸素系漂白剤(液体タイプ)
・紙やすり
・綺麗な布
・キッチンペーパー
・マスク
・ゴム手袋
【手順】
①消毒用エタノールでカビを殺菌する
カビが発生している箇所と周辺に消毒用エタノールをスプレーで吹き付ける。乾燥するまで待った後に、綺麗な雑巾で乾拭きをする。
②酸素系漂白剤でカビの色素を落とす
①で殺菌を行ったが、色素沈着が激しい場合、消毒用エタノールで色素の除去まではできない為、酸素系漂白剤で色素の除去を行う。
キッチンペーパーに酸素系漂白剤を染み込ませ、カビ部分に覆うようにかぶせる。20分ほどそのままにし、水分が乾くまで待つ。
③紙やすりで削り落とす
②でカビの色素が落としきれなかった場合、紙やすりで色素沈着の箇所を削り落とす。軽い力で削り落とすが、この作業は必ずエタノールで殺菌した箇所にのみ行うこと。この時点でカビが奥深く繁殖しているのが見て取れた場合には、カビの繁殖は再開されるので、カビ除去の専門業者に相談する。
『人、建物に優しいカビ取り専門業者による無料見積り/カビラボ』
壁のカビを放置すると起こる悲劇
カビを放置してはならない最大の理由は、カビ胞子が体内に入り込むことで命にかかわる病気をも引き起こすことがあるからだ。
人間に健康診断があり、予防注射があり、調子が悪ければお医者さんに診てもらうのと同じように考えていただければ、カビによる被害は減少するだろう。
実際に起こってしまったカビによる被害とはどのようなものがあるのかを紹介する。
■ケース1:謎の体調不良
継続的な頭痛や微熱、疲労感があり、病院に行ったが風邪ではなく具体的な原因は不明。あまりにも長く続く体調不良であった為、疲れが出ていると休日はゆっくりと過ごす。ある日ベッドと接する壁とマットに黒カビを発見する。マットは広範囲に繁殖していた為、処分し壁カビは業者に除カビと防カビをしてもらう。まるで違う空間で過ごしているかのように居心地と体調が回復する。
■ケース2:アレルギーの悪化
治療で症状が落ち着いていたアトピー性皮膚炎。12月頃より症状が急激に悪化する。病院に行くが、症状が落ち着いたり悪化したりを繰り返す。その後くつろいで過ごしていた和室の木製枠のソファー壁面にカビを発見する。結露で発生した水滴が原因でカビが急激に繁殖した様子。除カビと結露対策をしっかりと行い、クッション類は交換。その後アトピーの症状も落ち着く。
■ケース3:皮膚の痒みから炎症
模様替えの際に動かした箪笥の裏にカビのようなシミを発見。洗剤でゴシゴシと洗い、天日干し、アルコール消毒する。作業後、指の切り傷からかぶれたような痒さが出てくる。絆創膏をしていた為、蒸れたのかと思い暫く外し、新しくつけ変えるが、痒みは収まらず、炎症を起こす。病院に行き、カビが傷口から入りこんだことが原因とわかる
このような防げる被害を招かないために、カビを発見したら殺菌を行う、そして初期段階の繁殖ではない、また点在して発生している場合には、カビ除去と予防の専門業者にすぐに相談してほしい。
特に免疫力が低い小さなお子さん、お年寄り、持病の関係で免疫コントロールしている方、そして妊婦さんがいらっしゃる場合は早急に対処で被害を食い止めていただきたい。
そして人体への実害と共に、知っておくべきカビの実害は、建物自体の劣化に繋がるということである。
カビは枝分かれするように栄養を求めて家全体を四方八方に伸びしていく。栄養は汚れ、埃、食材だけでなく、塗料や接着剤、建材をも対象となる。繁殖を放置すれば、小さかった壁カビも放置し続ければ、壁の内部へ、そして躯体に行き渡り、想像以上に建物へダメージを与える。もうひとつ、カビが電線などに繁殖してしまうことで電気絶縁性は低下し、電気製品の不具合や使用不可となり、最悪の場合には火災の原因にもなりかねない。
カビはただの汚れではなく、発見すればちゃんと向き合うべき問題であることをお伝えしたく、カビ被害の実態を紹介した。
信頼出来る業者に依頼する為のポイント5
カビキラーは、水洗いできない箇所の他に、下記の通り使用できないものがある。
【カビキラーが使用できないもの】
砂壁/繊維壁/漆喰/布張りの壁/ユニットバスの化粧銅版壁/ホーロー・アルミ・しんちゅう等の金属製品/木製品/獣毛のハケ・ブラシ
カビキラーは使えない、面で繁殖している、再発は嫌だとなった場合は、信頼できる業者に依頼をしたい。そこで、いざカビ除去と防止を依頼する際に、知っておくと良いポイントをお伝えする。
業者に依頼する際の大きな流れは
【相談→状況確認・見積り(ここまで無料)→施工開始→仕上がり確認→完了】となる。
下記は信頼できる業者かどうかのチェック項目として活用いただきたい。
■カビ除去予防を専門にしている業者である
■カビの生態と建材や薬剤等についての知識があり、それをわかるように説明してくれる
■除去や防止方法、これから(保証内容)の説明が業者からある
■必要以上に不安を煽るような言葉を言わない
■契約を即決させようとしない
■人体へ配慮した洗浄剤を使用している
■今までの実績が確認出来る
■別途費用(養生費など)は必要なもので書かれている
■不安な点や質問などに丁寧な回答がある
■事前に聞いていた方法で施工が開始されている
繰り返しとなるが、一番のポイントは最初の「カビ除去予防を専門にしている業者である」の項目だ。カビ取りを「洗浄」や「クリーニング」としてのみ考えている業者ではなく、「生きている菌」の対応としてくれているかが重要である。
除カビ・防カビの相場を知ろう
カビ除去や防止の価格は「1㎡あたり○円」と示されることがほとんどである。
とは言え、カビの繁殖具合やその他の汚れの状況、また地域によっても費用は変動するため、
見積もりが出て、気になる箇所があれば何故この価格かを聞き、不安を抱えたままではなく、納得して進めていただきたい。費用が妥当かどうかの目安として、相場をお伝えする。
内容 | 1㎡あたりの費用 | |
壁、天井、その他 | 除カビ、殺菌 | 1500円~ |
除カビ、殺菌、防カビ | 3000円~ | |
外壁 | 除カビ、殺菌 | 1500円~ |
除カビ、殺菌、防カビ | 3000円~ |
基本的に上記に出張費、消費税が加算される。
価格相場表を見ていただいてもわかるように、除カビのみか、防カビをセットで行うかで費用は異なる。防カビ単体よりも一緒に行う方が、単純に手間が減少されてお得となるが、
この辺りも環境的に防カビしておく方がのちのち良いのかどうか等は、専門業者なら相談に乗ってくれるだろう。
このように、専門の業者であれば、様々な相談やアフターサービスもあるため安心できる。また作業時間は、行う範囲や状況で様々であるが、基本的に作業している部屋以外は普通に過ごすことができる。
カビキラーのメリット・デメリットを知り正しい行動を
壁にカビを発見したら、発見箇所周辺にもカビが発生していないかを確認し、わずかなカビの発生であれば自分での殺菌方法も試せる。もちろん自分で行う自信がない、プロにすぐに見てもらいたい場合には無理せず相談してもらって良い。
カビが面で発生していれば素人では対処できない為、専門業者に相談する。
カビキラーを使用する際には、浴室など水洗いがしっかりと出来る箇所で使用し、必ず使う前に商品裏に使用方法や注意点を確認して、横着せずに作業していただきたい。
カビの無い、気持ちの良い空間で過ごしていただけるように、
また、間違った除去でカビを増殖させる事や、薬剤による被害が決して出ないように、
この記事が参考になることを願う。
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