寝室やベッドはその性質上カビが大量に発生し易い。その結果、建物だけでなく人体にも大きな健康被害を与えてしまう可能性がある。
カビの発生に必要な条件に「栄養」と「湿度」がある。人間から出る高栄養源である垢などのたんぱく質汚れ、空気中の水分を確保して湿度を保つ埃、この二つが寝室には揃いやすい。
例えば、ベッドの長辺側を壁に設置させたとする。何年もそのままの配置でカビ対策を行わなかった場合、その壁にはうっすらと人型のようなカビが発生するだろう。光と風が通りにくく埃がたまりやすい、部屋の角や、ベッド下の壁、床には要注意だ。
今回の記事ではベッド、寝室に発生するカビの原因と対策そして除去方法までを徹底的に解説していく。
『人、建物に優しいカビ取り専門業者による無料見積り/カビラボ』
【角壁に出来たカビをカビ取り専門業者が施工した様子】
カビが発生しにくいベッド選びや配置が考えられる時こそ、これから紹介する「カビが遠のく寝室づくり」を実行していただきたい。
この記事読むことで理解できること
寝室に発生するカビの一番の原因は「勝手な保湿」
カビ対策を行う前に確認しておくべき事は、まず【起こりうる原因を知る】事だ。
カビ発生の条件は下記の4つである。
■温度…5~45℃で発生し、20℃以上から活発に、28℃前後が一番盛んになる
■湿度…60%以上で発生し、80%以上となると猛烈な勢いで繁殖する
■栄養…埃、人間の垢などのたんぱく質汚れ、食品だけでなく、塗料なども栄養源となっている
■酸素
この中の1つでも条件が揃わなければカビを抑えることが出来る。
温度、酸素は人間の快適な生活を確保する為には無理であり、栄養源は小まめな掃除で減らせるが、垢やフケだけでなく、壁材の塗料なども餌としている為、全てを排除するのは不可能。残る一つの湿度の調整で、カビを食い止める策を考えるのが有効である。
では寝室におけるカビの原因とは?大きく4点考えられる。
①保湿してしまうアイテムが多い
寝室には布団、枕、又はぬいぐるみなど、空気中の水蒸気を確保する布(繊維)が多く、またベッドは広範囲で壁や床に影を作る。
②体から出る栄養や熱が留りやすい
カビにとって高栄養源である汗や垢があらゆる箇所に付着、留まり、また体の熱で多湿を生み出しやすい環境となっている。
③結露をおこしやすい
火を使う台所、湯を出す浴室の次に、部屋が体温で暖まりやすく、外との温度差で寝室の窓にも結露ができて結果的に湿度が高くなりやすい。
④物が大きい為、手入れが怠りやすい
大きなベッドを動かしてまで床や壁の掃除を日々行っている方は少ないだろう。ベッドの上の物だけと考えても、布団、シーツ、マットレスを洗浄するのは大仕事である。
では上記の原因を回避する方法を考えてみる。
①寝室には必要な物ばかりだからこそ、その物自体の素材や仕様、配置をしっかりと選ぶ事で対策する。
②①と同じく通気性の良いアイテムを選び、日頃の習慣の中で掃除や換気をしやすく工夫する。
③窓に結露防止シートなどを貼る。
④無理のない継続的な手入れを行う為に、掃除のしやすい配置や方法を考える。同時に手入れのしやすいアイテムを揃える(マットレスであれば、立てかけて風を通せるような位置を確保するなど)
まずは原因の大部分を占めるベッドアイテムについて紹介する。
カビが発生しにくいベッド選びのポイント5点
それではカビが発生しにくいベッドを確認していく。
【カビ対策:ベッド本体】
■マットレスを置く天板はスノコ形状や網状が良い
■ベッドフレームは天然素材ではない金属や樹脂性が良い
■木材フレームの場合は桐やヒノキを選ぶ
■ベッド下収納の無いもので、床からの高さがあるものが良い
【カビ対策:マットレス】
■通気性の良いマットレスを選ぶ
マットレスを置く天板はスノコ形状が良い
マットレスが乗る天板部分はフラットではなく、スノコ形状や網目状のものが通気性が良いのはご想像できると思う。しかしスノコ形状のフレームであっても、マットレスではなく、中に空気の層を確保出来ない敷き布団を乗せて使うと全く意味はない。
ベッドフレームは天然素材ではない金属や樹脂性が良い
画像のような非天然素材のパイプベッドであれば、カビの発生からは回避できるだろう。パイプベッドに多く見られる網状のフレームは、部分的に強い力がかかると曲がってしまうこともあるのでご注意を。このカビ回避はフレームに対してであり、マットレス対しては関係ない。
木材フレームの場合は桐やヒノキを選ぶ
思い描くお部屋の雰囲気にはどうしても木製のベッドが良い場合、吸湿性と通気性の良い桐、又はヒノキが良い。ただ桐は湿気が多すぎる環境であると部分的に変色することがある。これをカビと勘違いしたという声もある。変色の成分は天然由来のものなのでカビのように人体への影響はない。
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ベッド下収納の無いもので、床からの高さがあるもの
ベッドの下は収納するのに便利な空間であり、有効活用したいところだが、グッとここは我慢していただきたい。ベッド下に余白がないとフレームとマットレスに風がほぼあたらなくなり、体温から発せられた熱もそのままこもりやすくカビの繁殖を手伝う環境を作ってしまう。また埃もベッド下にたまりやすいので、掃除がしやすく風通しの良い床からの高さがあるベッドフレームが望ましい。
通気性の良いマットレスを選ぶ
まずは様々あるマットレスの種類によっての通気性の違いを確認する。
マットレスは大きく分けて「スプリングタイプ」と「ウレタン・樹脂素材タイプ」に分かれ、そこから細かく素材や形状によって下記のような種類がある。
タイプ | 種類 | 通気性 |
スプリングタイプ | ポケットコイルマットレス | やや悪い |
高密度連続スプリングマットレス | 良い | |
ウレタンや樹脂素材タイプ | 低反発マットレス | 悪い |
高反発マットレス(ウレタン) | 悪い | |
高反発マットレス(樹脂) | 良い | |
高反発ファイバー素材(ポリエチレン) | 非常に良い |
通気性を見ると、「高密度連続スプリング」と「高反発(樹脂)」が通気性の面では優れており、一番通気性がよいとされているのは「高反発ファイバー素材(ポリエチレン)」である。高反発ファイバーとは、極細の繊維状(ポリエチレン)を絡ませて形成したマットレスで、抜群の通気性があり、熱や湿気を瞬時に逃がしてくれる素材だ。高反発ファイバーの難点と言えば、通気性抜群ゆえ、冬は熱がこもりにくく涼しく感じるので、冬場はベッドパットなどを併用すると良い。
既に使用しているベッドでも出来るカビ対策
ここまでは「これからベッドを購入する場合」のカビ対策を紹介したが、既に使用しているベッドでのカビ対策も紹介する。
■防カビスプレーを使用する
ベッドフレームや寝具専用の防カビスプレーを施す方法である。環境や商品によって使用すべき頻度は異なる。商品の取り扱い方法を必ず確認する必要はあるが、どの防カビスプレーでも、使用前にはベッドフレーム、寝具に風を当てて、湿気を逃してから行うことをおすすめする。
■除湿シートを敷く
マットレスの上に敷いて、汗や熱によってこもる湿気を吸収、マットレスやフレームから湿気を守るアイテムである。こちらはベッドではなく畳に直接布団を敷く方にも使用いただける。
■配置を変える
ベッド周りを出来るだけ風通りの良い配置に模様替えする方法である。この後に記載している「カビが発生しにくい寝室の配置と習慣」を参照いただきたい。
また防カビスプレーと除湿シートについても後の「寝室やベッドのカビ除去にはこれ!おすすめのカビ対策グッズ」にておすすめの商品を紹介している。
カビが発生しにくい寝室の配置と習慣
カビが発生しにくいベッド、マットレスを選べたら次はカビが発生しにくい配置と習慣を確認する。
【カビ対策:配置】
■ベッドを壁から離して設置
ベッドと壁の間は最低5cm空けること。理想的なのは、ベッドヘッド部分のみ壁沿いで、他の三辺は壁から遠のいている配置、部屋の中心にベッドがある状態が良いが、部屋が広くないと難しいかもしれない。角置きの場合でも壁とベッドの間に隙間を空けて置くことで通気性はグン上がる。
■観葉植物はベッドの近くに置かない
見た目の良さだけでなく、天然の空気清浄機としても役割もはたしてくれる為、寝室に観葉植物を置かれている方は多いかもしれない。しかし植物は水蒸気を出しているのでベッドや寝具の近くではなく、置くのであれば少し離したところに置くほうが良い。夏は可能であれば寝室よりも空気の流れの良い場所に置いていただいた方が安心ではある。
■カーペットを敷かない
カーペットは部屋のインテリアとしても、ベッドから足を下ろした際の感触にしても、冬の寝室では欲しいアイテムではあるが、湿度が高まりやすい部屋の場合は保温性、保湿性を持つカーペットは出来たら避けていただきたい。
【カビ対策:習慣】
■湿度計と除湿機を使用する
カビ発生の湿度の条件は湿度60%以上とお伝えした。なんとなく湿度が高いというのは感覚でもわかるが、正確な湿度を確認出来る状態にしておく事で、すぐに除湿機を稼動させるかどうかの判断が出来る。温度とともに湿度の確認を習慣化していただきたい。
■マットレスとフレームの間に風を送る
マットレスやベッドフレームを天日干し出来たらよいのだが、大変な労力とスペースが必要である。しかし、少しでもマットレスとベッドの間に扇風機などで一定時間、風を送ることで湿気のこもりを減少できる。
■マットレスを定期的に動かし立てかける
上記と同じく、天板とマットレスを空気に触れさせるために、布団を天日干ししている際には、マットレスを暫く立てかけて置くと良い。ダブルベッドなどのマットレスは大きく重たい為難しいが、シングルベッドでこれを行うことで有効な対策となる。
■ベッド下の掃除
こちらは可能であれば毎日ベッド下の掃除機かけを行い、カビの栄養源である汚れを排除する。
■換気
毎日寝室の窓を開けて換気する。しかし雨の日や外の湿度が高い場合は逆効果なのでご注意を。
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寝室やベッドのカビにはこれ!おすすめのカビ対策グッズ
これまでに紹介したカビ対策を行う際におすすめしたい便利なグッズを紹介する。
除湿グッズ
湿度調整にはエアコンの除湿機能もあるが、運転中に脱臭と殺菌効果を持ち除湿効果の高い除湿機もご検討いただきたい。現在ではインテリアを邪魔しないコンパクトなもの、そして様々なデザインのものが販売されているので、皆さんの寝室と生活に合う最適な除湿機が見つかるはずである。
先に紹介したマットレスの上に敷くタイプの除湿シートである。除湿シートは湿気を吸収し、湿気がシートに溜まりだしたら天日干しするというものである。また炭入りで脱臭効果の強いものなどさまざまある。
結露防止グッズ
お馴染みの窓に直接貼って結露を吸収してくれる結露防止シートである。暖房効果も上げてくれて、貼ると曇りガラスのようにもなるので、目隠しとしても役立ってくれる。
スプレータイプの結露防止剤だ、使い方は窓ガラスに直接吹きかけると透明の膜になり、窓に発生する結露を吸収してくれる。布などで拭き取り塗り替えも出来て窓ガラスの掃除も楽になるためスプレータイプも人気である。
抗菌・殺菌グッズ
ベッドや寝具にも適している防カビスプレー。寝具だけでなく衣類や鞄、靴、カーテン類の布など様々な場所に使用出来る為、一本あると便利である。
飲食店で働いている、働いていた方はご存知のスプレーではないだろうか。こちらは厚生労働省認可の食品添加物なので、食品に直接噴霧しても良い除菌スプレーである。お子さんが口にする可能性のあるぬいぐるみにも安心して使える。
もしもカビが発生したら…自分で除去は可能か?
カビ対策を行っていたが、もしもカビが発生してしまい、それがベッド、壁、床の場合は素人で完全に除去するのは難しい、なぜならカビは表面ではなく中にまで菌を繁殖させているからである。この場合、カビ取りを専門としたプロに依頼することをおすすめする。
市販のカビ取り剤で寝具用などもあるが、もしもスプレーを施している際などにカビ菌を飛散させてしまえば逆効果となる。また浴室用の強力なカビ取り剤は人体に影響を与えるので、絶対に寝室で使用してはならない。
しかし、毎日肌が触れるマットレスに黒い転々のカビが現れていれば、すぐにでも何とかしたいものだ。そこで、繁殖が未だ初期段階であれば、下記の安全な方法でマットレスのカビ繁殖を抑える事は出来る。
■用意するもの
・消毒用エタノール(適量)…カビの細胞を破壊する効力がある(殺菌効果)
・綺麗な雑巾やタオル
・ぬるま湯
・ドライヤー
■手順
①カビを殺菌する
消毒用エタノールをカビが発生している箇所とその周辺に、少し湿るくらいにつけて、1時間待つ。
②エタノールと共に殺菌したカビ菌を取る
1時間後、ぬるま湯をつけた雑巾やタオルでしっかりとエタノールと菌を拭き取る。雑巾にエタノールを吸収させるではなく、ぬるま湯で湿らせたエタノールを薄めながら叩き拭きしていくイメージで行う。
③乾燥させる
消毒製エタノールは揮発性(蒸発する)なので、ここでどのくらい拭き取るかは正直納得がいくまで。となるが、寝る場所なので入念に行っておく方が気持ち的には良い。ちなみにエタノールが行き届いた箇所のカビ菌は生きていないのでご安心を。
最後にドライヤーで乾燥させて完了である。
上記はカビを殺菌する方法で、カビが残した色素は残ってしまう。しかしここで浴室用の塩素系漂白入りカビ取り剤はマットレスには絶対に使用しないでいただきたい。
衣類用の酸素系漂白剤と重曹、水を合わせた重曹ペーストを乗せてラップをし、少し待つと多少の色素は取れる。しっかりと色がついている場合では少し薄くなる程度だ。よってマットレスのカビを発見したらすぐに対応しよう。
カビの繁殖が進行している場合は、マットレスに関しては買い替えをおすすめする。
床などにカビが発生したら…プロに依頼する場合のポイント3つ
画像は厚生労働省が指定する食品添加物以上のものを使用して安全にカビ取りが行われた様子である。寝室の壁、床、ベッドなどにカビが発生した場合は、クロスの裏側などに対しても処理が必要であり、また安全な処置を行う必要があり、ちゃんと信頼出来るカビ取りの業者に相談していただきたい。そこで依頼する業者を選ぶ際のポイントをお伝えする。
①カビ除去を専門としている業者であるか
②使用する薬剤が安全であるという説明があるか
③不安要素がある場合は質問しやすい対応をしてくれているか
カビの種類や進行具合、環境によって本当に適した除去方法は異なる為、カビに対する豊富な知識が必要である。「洗浄」や「クリーニング」として汚れとおなじようにカビを考えている場合は、強い薬剤を使用されている業者も実はいる為、「カビ取りを専門にしている」という部分はとても大事である。
そして人体への影響を決して軽視しない安全なものを使って対応してくれるか、その説明がわかるようにあるかもポイントである。
もしも不安なことがあれば遠慮せずに聞いて、信頼をもってから依頼していただきたい。
ベッドや寝室のカビをそのままにしておくと…
カビは放置して置くと、見た目の不快さだけでなく、喘息やアトピーなどの症状の悪化、ダニの増殖の原因にもなる。特に抵抗力が低い小さなお子さん、お年寄り、妊婦さんにとっては怖い存在なのだ。
カビが根強く繁殖すると、殺菌スプレーでは深い菌までやっつけることは出来ない。
この記事を読んだことをきっかけに寝室のカビ予防を今日から行って、快適な睡眠を守っていただけることを願う。
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